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交通事故が起きたら:通報・保険・過失割合の順番

交通事故のイラスト:上段に現場での 5 つの行動(停止・救護 119・通報 110・現場記録・保険会社へ連絡)、下段の 3 枚は自賠責が相手のけがのみを支払うこと、任意保険が物損と自分の車を補うこと、過失割合が判例をもとに保険会社間で協議されること。最下部に現場離脱=当て逃げは刑事問題だという注意

事故で高くつくのは修理代よりも、その場の数分間の判断です。そのまま走り去る、現場で「示談にしましょう」と現金を渡す、自賠責があれば全部カバーされると考える——どれも後から取り返しがつきません。このページは、事故直後にやる 5 つのこと、警察への届出と事故証明書、自賠責と任意保険の役割分担、そして過失割合がどう決まるかを順番に整理します。外国籍の方がつまずきやすい点は最後にまとめました。

📅 本ページの情報は 2026 年 10 月時点で確認
ひとことで

止まる → 救護(119)→ 通報(110)→ 現場を記録 → 保険会社へ連絡。この 5 つはどれも省けません。そのうえで病院、事故証明書、示談へと進みます。日本では、事故後に現場を離れること(当て逃げ)は刑事事件であり、話し合いで片づく話ではありません。けが人がいない物損事故でも警察への届出は法律上の義務です。もうひとつ押さえておきたいのは役割分担で、自賠責が支払うのは「相手のけが」だけ。相手の車、自分の車、自分のけがは対象外で、そこは任意保険の領域です。金額・限度額・期限は法令と保険約款で変わるため、必ず公式の案内とご自身の保険証券を基準にしてください。

📋 早見表:事故直後と、そのあとにやる 8 のこと

順やること要点抜かすとどうなるか
1停止+二次事故の防止ハザード、停止表示器材、人を安全な場所へそのまま走ると救護義務違反
2救護:119「事故・けが人あり」、場所と人数を伝える救護の遅れ、責任が重くなる
3通報:110物損でも届出。受理番号を控える事故証明書が取れず、保険が下りないことがある
4現場の記録写真、相手の情報、目撃者、ドラレコ水掛け論になり、過失割合で不利
5保険会社へ連絡証券記載の事故受付ダイヤル自分で交渉すると損をする
6病院を受診当日か翌日。診断書を取るむち打ちは数日後に出るので因果関係を争われる
7事故証明書を取得自動車安全運転センター請求の土台が欠ける
8示談・過失割合交渉は保険会社に任せ、自分は証拠を出す自分で署名すると覆せない

* 手続きの細目や書類名は都道府県警察・保険会社ごとに多少異なります。現場の警察官の指示と、ご自身の保険証券の記載が優先です。

🚗 停止から示談まで:全 8 ステップ

  1. まず止める。二次事故を先に防ぐ

    どんなに小さな接触でも、最初の義務は停止です。そのまま走り去るのは「あとで話せばいい」ではなく、救護義務違反・報告義務違反になります。あとから連絡しても、この違反は消えません。

    • ハザードを点け、夜間や視界が悪いときは車幅灯も点ける
    • 車の後方に停止表示器材(三角表示板など)を置く。高速道路上は法令上の設置義務があります
    • 人はガードレールの外や路肩の外へ。車と車の間に立たない、車の後ろで交通整理をしない
    • 車の損傷より先に、けが人の有無を確認する
    停止そのものが法的義務
  2. けが人がいれば 110 より先に 119

    伝えるのは 4 点です。「事故です」+場所+けが人の人数+意識があるか。住所がとっさに出ないときは、交差点名、街区表示板、近くのコンビニやガソリンスタンドを伝えれば、通信指令員が目印から絞り込んでくれます。

    • けが人は動かさない。ただし火災や再衝突の危険があるときは移動します。動かした場合は、元の位置と姿勢を覚えておく
    • 出血は清潔な布で直接圧迫。確認のために何度も離さない
    • 意識がもうろうとしている、首が痛い、手足がしびれる——重傷として扱い、救急隊を待つ
    119 が先、110 が後
  3. 110 番で届け出る(物損でも必要)

    「けが人がいないから警察は要らない」は最も多い誤解です。道路交通法上の報告義務は人身事故に限られず、物損事故にも及びます。この届出が交通事故証明書につながり、その証明書が保険請求の前提になります。

    伝える順番は、①交通事故 ②場所 ③車の台数とけが人の有無 ④氏名と電話番号。警察官が到着して実況見分を行い、次の提示を求められることがあります。

    • 運転免許証(国際免許の場合は国際運転免許証とパスポート)
    • 在留カード、車検証、自賠責保険の証明書
    • レンタカーの場合は貸渡証と会社の連絡先

    帰る前に必ず受理番号と担当警察署名を控えてください。ステップ 7 で使います。

    物損でも届出義務あり
  4. 現場を「固定」する:写真・相手の情報・目撃者

    車を動かす前に、全景 → 中景 → 接写の 3 段階で撮ります。

    • 全景:4 方向から。二台の車、道路、信号、標識を同じ画面に入れる
    • 中景:衝突部位の位置関係、スリップ痕、散らばった破片、停止線
    • 接写:双方のナンバープレート、損傷、路面(濡れているか乾いているか)、天候、時刻(メーターか時計を写す)

    相手の情報は項目を落とさずに控えます。ナンバー、氏名、住所、電話番号、保険会社名と証券番号、免許証(写真に撮り、氏名が一致するか確認)。目撃者の連絡先も必ず。現場では協力的でも、翌日には連絡がつかなくなります。

    ドライブレコーダーがあれば、その場でファイルをロックまたは退避。上書きで消えるのを防ぎます。

    ⚠️ 現場で過失を論争しないこと。「私が悪いです」と口にしないこと。その一言が相手の供述調書に残ることがあります。

    意見より証拠を先に
  5. その場で保険会社へ。交渉は全部任せる

    保険証券には必ず事故受付ダイヤル(多くは 24 時間)が載っています。アプリで届け出られる会社もあります。伝えるのは日時と場所、けが人の有無、警察の到着、受理番号、相手の車両と保険の情報です。

    そして線を一本引きます。金額の交渉は保険会社に一本化する。

    • 現金をその場で渡さない。相手が「数千円でいい」と言っても応じない
    • 示談書・念書・確認書にサインしない。署名すると覆すのは難しくなります
    • 相手が直接の支払いを求めてきたら、保険会社の連絡先を渡す
    • 相手が自賠責未加入、またはその場から走り去った場合も、まず警察へ。そのうえで政府の自賠責保障事業と、自分の無保険車傷害特約を使う
    現金を渡さない・署名しない
  6. 当日か翌日には必ず受診する

    「今は痛くない」は受診しない理由になりません。追突によるむち打ちは 2〜3 日たってから痛み出すことが多く、その時点では事故との因果関係を立証しづらくなります。

    受診の際は「交通事故のけがです」とはっきり伝え、事故日と警察の受理番号を伝えます。医師の診断書が人身事故認定の分かれ目で、警察は診断書をもとに物損から人身へ切り替えます。保険の扱いもこれで変わります。

    通院中の領収書、診療明細、交通費の領収書はすべて保管してください。最終的に損害賠償の対象になります。

    診断書が人身事故のスイッチ
  7. 交通事故証明書を取る

    警察が受理・登録したあと、自動車安全運転センターで交通事故証明書を取得できます(物損のみの場合は届出済証明)。窓口・郵送・オンラインで申請でき、手数料が必要で、発行は事故から数日後が目安です。

    保険請求とその後の交渉は、この 1 枚が土台になります。氏名・ナンバー・日付が 1 か所でも違うと返戻されるので、ステップ 3 で控えた受理番号が効いてきます。

    請求の前提書類
  8. 示談と過失割合:交渉は保険会社に任せる

    示談は、賠償額について合意する正式な手続きです。謝罪でも口約束でもありません。署名すれば法的効力が生じます。交渉は双方の保険会社が判例の類型に沿って進めるので、こちらがやることは証拠を揃えること。診断書、通院記録、修理見積書、代車代・交通費の領収書、休業損害の証明です。

    結果に納得できない場合は再交渉、ADR(交通事故紛争処理センター)、保険の弁護士特約という選択肢があります。言葉と判例の両方で不利なので、一人で交渉しないことです。

    署名前に保険会社へ確認

🛡️ 自賠責と任意保険:どこまでカバーするか

自賠責保険(強制)任意保険(任意)
だれのけが相手のけがのみ相手・同乗者・自分
相手の車・物対象外対物賠償
自分のけが対象外(自損事故は支払対象になりません)人身傷害・搭乗者傷害
自分の車対象外車両保険
限度額法定の限度額。超過分は自己負担証券に定めた支払限度
未加入だと罰則あり(罰金・免停など)、賠償も全額自己負担強制ではないが、リスクは全部自分に

* 自賠責の支払限度額は法令で定められ、改正で変わります。任意保険の補償範囲は約款ごとに異なります。金額と条件は公式の案内および保険証券が基準です。

⚠️ やってはいけない 4 つ

① 現場を離れる。「電話を借りに」「コンビニまで」でも同じです。当て逃げの判断は動機ではなく、停止・救護・報告を果たしたかどうかで決まります。

② その場で現金を渡して片づける。記録のない支払いは、相手が話を変えたとき、けがが悪化したときに、何の根拠にもなりません。

③ 「全部私が悪い」と言う、書類にサインする。過失割合は判例をもとに交渉で決まります。口をついて出た一言が相手の供述に引用されることがあります。

④ 「けが人がいないから警察は不要」と考える。物損でも届出義務があります。そして事故証明書がなければ、保険が支払われないことがあります。

⚖️ 過失割合はどう決まるのか

過失割合は善悪の判定ではなく、事故類型ごとに判例で決められた割合です。保険会社はまず基本類型(追突、出会い頭、右左折、横断歩道、ドア開けなど)を当てはめ、そこに修正要素を足し引きします。

  • 加算される要素:夜間の無灯火、明らかな速度超過、前方不注意、スマホ操作
  • 減算される要素:相手が子ども・高齢者、相手の信号無視、道路構造そのものの欠陥

つまり同じ「追突された」でも割合は変わり得ます。こちらが動かせるのは証拠だけです。ドライブレコーダー、現場写真、診断書、目撃者。割合は類型によって異なるので、保険会社の提示と判例が基準です。ネットに流れている「追突は 10 対 0」を結論にしないでください。

✅ 完了チェックリスト

  • 警察の受理番号と担当警察署名を控えたか
  • 交通事故証明書を申請したか(物損なら届出済証明)
  • 診断書は取ったか。通院は途中で止めない(空白期間は減額の材料にされます)
  • 相手のナンバー・氏名・保険会社・証券番号は揃っているか
  • ドライブレコーダーのファイルを退避したか、上書きされていないか
  • 保険会社の担当者名と事故番号を控えたか
  • 修理見積書、代車代、交通費、休業損害の書類を保管しているか
  • 反則金・罰金の通知が来たら期限内に納付する(未納は在留更新・永住審査で見られます)

🚑 けがをしたあとの医療費

事故の治療は保険の領域ですが、自己負担の上限(高額療養費)と医療費控除は別の制度です

医療費のガイドを見る →

❓ よくある質問

軽い接触で、相手が「警察はいい」と言っています。そのまま帰れますか

帰れません。届出義務は法律上のもので、当事者どうしで免除できるものではありません。記録がなければ事故証明書が取れず(保険請求の前提が崩れ)、相手が後から「当て逃げされた」と言い出したときに反論もできません。現場の 20 分は、3 か月の揉めごとよりずっと安くつきます。

日本語が不十分でも 110 番は通じますか

通じます。最初の一言は「交通事故です」、そのあと場所とけが人の有無。住所が出てこなければ交差点名・街区・近くのコンビニで構いません。電話を近くの人や店員、会社の同僚に代わってもらうのも手です。到着後に通訳を頼むこともできますし、翻訳アプリで一文ずつやり取りしても大丈夫です。言葉が不安だからと届出を省くのが、いちばん高くつく選択です。

自転車で人にぶつかった場合も交通事故ですか

はい。自転車は道路交通法上の「車両」で、救護義務・報告義務がかかります。しかも加害者側になり得ます。対人賠償には上限がないため、高額になることがあります。自治体によっては自転車保険の加入が義務化・努力義務化されています。お住まいの自治体の公式案内を確認してください。

相手が無保険、または現場から逃げた場合は

どちらもまず警察へ届け出ることが前提です。相手に自賠責がない場合やひき逃げの場合は、政府の自賠責保障事業による填補と、自分の保険の無保険車傷害特約を使う道があります。警察の記録がなければ、どちらの道も開きません。

事故は在留資格や永住申請に影響しますか

違反の種類と重さによります。酒酔い運転、ひき逃げ、無免許運転といった重大な違反は在留更新・永住審査に影響します。通常の物損事故や、期限内に納付した反則金は直ちに障壁になるものではありませんが、未納の罰金や違反の繰り返しは確認の対象になります。判断基準は出入国在留管理庁の案内が基準です。迷ったら更新の直前ではなく、先に相談してください。

レンタカーだと手続きは変わりますか

流れは同じです。停止 → 救護 → 110 → 記録 → 保険会社。違うのはレンタカー会社への連絡も同時に必要なことと、免責補償(CDW)とNOC(営業補償)の扱いを契約内容で確認することです。相手との交渉を自分で進めないでください。レンタカーの保険条件はマイカーと同一ではありません。

公式参考: 国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト ↗ |自動車安全運転センター(交通事故証明書)↗ |日本損害保険協会 ↗